地域産材への切り替えで受注単価アップを達成
渡良瀬川流域の木材を製材し、市場に供給する体制が整ったこともあり、コンチネンタルホームでは使用する木材を地域産材へと切り替えた。
コストアップ要因になる懸念もあるため、グループ内でも地域産材への切り替えに慎重な声もあったという。しかし、「林業の6次産業化を実現することが地域への貢献につながる」という強い思いのもと、地域産材の活用に踏み切った。「地元の木でつくる住まい」を訴求した結果、受注単価の向上といったプラス面での効果を得ることができているそうだ。
また、渡良瀬林産の製材工場は、ウッドショックなどの影響もあり短期間に黒字化を達成。今後は渡良瀬川流域構想を具現化するために、コンチネンタルホームグループ内での成功体験を他の事業者と共有するステージへと進む。
さらには、地域住民を巻き込んだ形で植林活動などを進めていく仕組みづくりや、次世代の林業従事者を育成するための取り組みなども進めようとしている。
高性能サステナブルハウスのノウハウを地域工務店に提供
新しい取り組みとして、渡良瀬川流域材を用いた高性能サステナブルハウスのVC展開もスタートさせようとしている。
規格型住宅により業務の効率化などを図りながら、地元の木で作る住宅をより手軽に建てられるようにしていきたい考えだ。
規格型住宅であることは、山側にもメリットをもたらす。使用する製材の品種などを限定することができるため、「売れるあてもなく伐採し、製材する」といったことを抑制できるからだ。さらに、ドローンなどの最新技術を使い、森林に生えている状態で供給可能量といったデータを入手できるようになれば、地域産材で規格型住宅を建てるメリットはさらに大きくなるだろう。
さらに、エヌケーケーの工場で規格型住宅用の大型パネルを製造することも検討している。規格型住宅であれば、大型パネルを在庫しておき、注文が入ればすぐに出荷するという体制を整備することも可能になる。
既に「KIBACO(キバコ)」という規格型住宅を開発し、コンチネンタルホームが先行して販売を開始している。
「KIBACO」は、耐震等級3、HEAT20のG2グレードという省エネ性能を備えており、構造計算なども行う。住宅事業者にとっては、「KIBACO」を販売することで、省エネ基準の義務化や4号特例の廃止といった法制度への対応も図れるというわけだ。
加えて、ITツールを活用した販売手法に関するノウハウなどもVCを通じて提供していくという。
グループ内の企業だけで地域産材の川上から川下までつないだコンチネンタルホームグループ。全国的に見ても非常に珍しいビジネスモデルを構築しており、国産材活用を取り巻く諸問題を一気に解決へと向かわせる可能性を秘めている。